• 著者: 宮部みゆき
  • 読んだ感じ: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年5月

 

事件捜査の際に足を負傷して療養中の刑事、本間のもとに、親戚の若者がやってきて、人を探してほしいという。婚約していた関根彰子という女性で、ふとしたきっかけで自己破産の経験があることが分かり、理由を問いただしたところ、翌日に姿を消したのだという。あくまでも私人として捜査を開始した本間は、関根という女性が実は全くの別人で、数年前に (本物の) 関根彰子の戸籍を奪い、入れ替わっていたことを突き止める。

 

事件の背景にはクレジットカードの過剰な利用がある。まだクレジットカードの使い方がよく分かっていなかった1980年代くらいの若者が、気軽な感じでクレジットカードを使いまくっていたところ、とんでもない金利で返済額が膨らみ、借金漬けになって人生がメチャクチャになる ということが社会的に問題になっていた。関根彰子も、彼女の戸籍をのっとった女性も、クレジットカードによって人生を狂わされた人間だった。

 

紆余曲折の末、本間はついに探していた女性を見つける。その女性に声をかけるところで小説が終わる。余韻といえば余韻だし、消化不良な感じもある。