騎士団長殺し

  • 著者: 村上春樹
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2020年7月

 

妻から離縁を言い渡された36歳の画家である私が、移り住んだ山奥の日本画家の家で、「騎士団長殺し」という隠された日本画を発見したことをきっかけにして、現実と異世界の間を行ったりきたりする感じの話。

 

喪失感を抱えた私、エッチな人妻のガールフレンド、夢の中での激しい射精、感情を表に出さない謎の少女、開かれる異世界の扉、イデアとメタファーを名乗る謎の存在、といった、過去作品で見覚えのある要素を交えつつ、こちら側とあちら側の世界、という、過去作品と同様のテーマに関する小説のように感じた。

 

村上春樹氏の小説は、読み終わった後、「結局これはどういう話だったのか」というのを考える。過去の作品と同じテーマを扱っていると思いつつ、今回も同じことを考えた。

 

ネットで検索すれば、誰かがしっかり読み解いた、多分正しいであろう謎解き的な解説を読むことができる。しかしながら、謎解き風に読み解くことがこの作品のゴールではなくて、作品を通して自分なりの問いが立ち、その問いをなんとなく心の底に持ちながら人生を生きるというのが、自分にとっての正しい村上春樹小説との向き合い方であるように感じる。

 

なので解説的な本は読まない。読むなら、この作品を再読するしかない。一次情報からしか本当の情報は得られない。

 

ただし例外的にアフターダークは解説を読んだ。

 

本小説で何回か言及のあった「白鯨」を、読む本リストに加えた。