EUの知識

  • 著者: 藤井良広
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2020年8月

 

大学院生のときに、3ヶ月間、IAESTE (国際インターン組織) の支援で、オランダの大学でインターンシップを経験した。インド人のKarimというポスドク (多分) のアシスタントとして、バイオマス熱分解装置を作ったのだが、勢い余って超大事な石英反応炉を割ってしまい、Karimに超文句を言われながらオランダ人の技師のおじさんのところに言って平謝りしながら修理してもらいにいったのを覚えている。

 

短い期間だったが、オランダでの生活は日本に比べてなんとも言えない成熟感があり、それ以来ヨーロッパにはなんとなく関心があった。

 

最近、仕事の関係で欧州の電池事業動向を調べることがあって、その際、「欧州委員会」「EU閣僚会議」「欧州投資銀行」「欧州電池連合」と言った単語が文章中に散りばめられており、オランダに住んでいたにもかかわらず全く理解できなかったので、基本的な知識を得るために本書を購入した。

 

EU発足の歴史的経緯、組織の構造、抱える問題 (特にギリシャ危機を中心に) などがまとめられており理解できた。ただ本書は敢えてギリシャ危機から始まる構成になっており、組織構造がよく分からないまま「欧州委員会」「EU閣僚会議」「欧州投資銀行」といった単語がここでも連発されるため、混乱することもあるかもしれない。

 

また、2013年改定の本なので、当然だがイギリスEU離脱については触れられていない。

 

自国の制度とは別に、EUの制度があって、二重構造的に国家を運営するのは超めんどくさそうな気がするが、欧州の人たちならそういったある種官僚的な組織を上手に運営していくのだろうなという印象を、自分がオランダで会った人たちを思い浮かべながら持った。