村上海賊の娘

  • 著者: 和田竜
  • 印象: 1 (1-3)
  • 読んだ時期: 2020年9月

 

戦国時代に活躍した瀬戸内海の海賊である村上海賊が、織田家と大坂本願寺 (+毛利家) の戦いで活躍する話。

 

本小説の醍醐味は戦闘のダイナミックな描写であり、個性あふれる主要人物が、因縁のある敵や味方と拳や言葉を交わしながら戦いが繰り広げられていく。上巻では本願寺側の拠点である天王寺砦をめぐる陸戦が、下巻では難波海での海戦が繰り広げられる。

 

司馬遼太郎の小説における戦さの描写でついていくのが精一杯な自分としては、本小説の戦闘描写は自分の理解能力を超えており、「えーと今この船はどこに位置してるんだっけ」とか「織田側と本願寺側の兵力はどういうバランスになったんだっけ」といった疑問が次々に浮かび、挙句の果てには「この吉継っていうのはどちら側の何家の何男だったっけ」までが分からない状態になり、最終的に理解を諦めて、目の前の敵と味方の斬り合いの描写だけを追っていくという状態になった。

 

織田側、本願寺側のそれぞれに海賊がついており、瀬戸内海らへんに拠点を持つ村上海賊は一方に (結果的に) ついて戦うことになる。相手方の主要な海賊は、難波湾らへんに拠点を持つ眞鍋海賊なのだが、ここの大将が、大型の銛を投擲して、4人まとめて串刺しにするというとんでもないモンスター野郎であり、主人公 (村上海賊の娘) と本大将との心理的、肉体的な戦いが物語の伏線およびハイライトになっている。

 

本大将のイメージとしては、ドラゴンボール19巻におけるナッパ、もしくは23(24?)巻におけるリクームに近いものがあり、対峙する村上海賊の娘としては、「こんなやべえときだってのに、ワクワクしてきやがった」という心境にはとてもなれない程の超強敵である。

 

本小説ではとにかく人が死にまくる。主要人物の戦闘能力が突出しており、イメージとしては戦国無双に近い。先程の大将だけでも、描写がある限りで150人くらいは殺しており、そのうち少なくとも3-40人は銛投擲による串刺しによる。

 

この描写によって主要な登場人物の圧倒的な戦闘能力が際立っているのだが、社会人生活を通して組織の歯車の悲哀のようなものに多少感じるところが出てくる30-40代男性にとっては、登場した瞬間に4人まとめて瞬殺されるMOB兵士の扱いに思いを馳せずにはいられない。

 

映像化されると面白い小説なんだろうなと思った。