55歳からのハローライフ

  • 著者: 村上龍
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2020年10月

 

団塊の世代の、定年退職後の人生を描いた短編小説集。会社の肩書を失って社会に溶け込めなくなった元サラリーマンの夫、そんな夫と過ごす新しい夫婦生活に息苦しさを感じる妻、ホームレスに転落する恐怖を感じながら低賃金の肉体労働に勤しむ男などの生き様が描かれている。

 

仕事一筋で生きてきたサラリーマンは、退職した瞬間に会社の肩書を失うと、自分が自分でなくなってしまい、心身に変調をきたしてうまく生きられなくなり、妻からも見放される、というのはよく聞く話だが、そういうのが身につまされる形で語られる。いちおう、最後は希望の兆しが見える形で、物語は終わる。

 

ある時、家族と離れて、街の中で一人でウロウロする機会があったのだが、この本で語られてる元サラリーマンの心境は多分こんな感じなんだろうな、という気持ちに少しなった。

 

仕事でも何でもいいが、一生やる価値のあることを見つける必要があるのだろうと、不惑を前にして今更思った。