逆ソクラテス

  • 著者: 伊坂幸太郎
  • 印象: 3 (1-3)
  • 読んだ時期: 2021年6月

 

(小)学校をテーマとした短編集。学校にはびこる理不尽な物事 (自分の価値観を押し付けてくる教師とか、いじめっ子とか、先生に陰湿ないたずらする奴とか、通り魔とか) に対峙する子供やその親やその担任にまつわる話。短編集だけど、人物やストーリーがちょっとずつ繋がっている。どういう風に繋がっているかまでは調べていないので分からないが、とにかく繋がっている。

 

学校が舞台になっているが、起こる出来事や出てくる人間は大人の社会でもありそうなこと、いそうな奴らであり、世の中の理不尽にどう立ち向かうべきか という問に対する、著者なりの考えの表明であるように思う。殺人事件が起こったり、死神が登場したりするわけではないので、派手さはないけど、その分、自分の人生と重なる部分が少なからずあって、心構えというか、態度というか、こうやって生きていくと強そうだな、楽しそうだな、という風に思わせてくれる。

 

背表紙に書いてある「僕は、そうは、思わない」という台詞は、「あいつはダメなやつだ」みたいに決めつけてくる大人に対する反撃の言葉であり、いつか使ってみたいと思う。言葉をひとつずつ、相手に噛んで含めるように、しっかりと言ってやるのだ。