第三の時効

  • 著者: 横山秀夫
  • 印象: 3 (1-3)
  • 読んだ時期: 2021年9月

 

F県警の刑事が主役の短編小説集。解説によると、横山秀夫が刑事を主役にした最初の小説らしい。それまでは人事課みたいな間接部門を主役にしたものだったらしい。

 

F県警捜査一課が様々な殺人事件と対峙し解決していく。捜査一課の職場はクライマーズ・ハイにおける北関東新聞よりも更に殺伐としており、所属する3つの班がお互いに敵意をむき出しにして事件解決を図るのみならず、班内でも自分の手で犯人を捕まえるために情報隠蔽が行われている。普通に考えると全くまとまりのない職場なわけだが、極限まで競争心を高めることによって結果的に優れた犯人検挙率を達成しているのが本捜査一課であり、日経ビジネスとかそのへんのビジネス本で聞きかじった理想的な組織とは的な話を根本から覆してくる感じが気持ち良い。