OUT

  • 著者: 桐野夏生
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2022年3月

 

弁当工場でパートタイムの夜勤をする4人の主婦が、やんごとなき事情によって、死体をバラバラにするという出来事を中心とした、犯罪小説。

 

主婦は、夫婦関係、嫁姑関係、親子関係、金などに、それぞれに闇を抱えており、日常から抜け出したいという抜きがたい欲望を心の中に隠している。ふとしたきっかけで発生した1つの殺人事件をきっかけにして、精神のたがが外れ、死や破滅と隣り合わせの非日常に流されていく。

 

死体をばらすきっかけになったのは、主婦の一人が犯した殺人事件であり、主婦のリーダー格である雅子が、死体を隠蔽することでその主婦を助けるために行った行為なのだが、いくら日常に闇を抱えているとはいえ、知り合いが殺した人物を自分の風呂場でバラバラにして隠蔽する というとんでもなくハイリスクローリターンな行為をするだろうか、という疑問が最後まで抜けなかった。

 

最終的に、殺人の濡れ衣を着せられた佐竹という殺人の前科を持つ男が、復讐のために雅子と対峙することになるのだが、佐竹の場合、単純に頭のネジが外れてるので、とんでもない行動をしても違和感を感じない (頭が狂っているので何しても不思議でないと思う) のだが、雅子がなぜあそこまで狂っていくのかということへの理解が難しい。雅子をはじめ、登場人物の現在や過去は、読み進めるうちに明かされていくのだが、それを読んでもなお、違和感があった。

 

ひとつ言えるのは、雅子をはじめ4人の主婦は、社会との関係をほぼ完全に立たれているということだ。家族関係は壊れており、友人と呼べる人間もいない。弁当工場で4人がつるんでいるのは、その日の仕事をできるだけ体力を消耗せずにこなすために協力関係を持っているだけでしか無い。

 

人間関係が壊れている家族と生活をともにするというのは、完全にひとりぼっちであるよりも、ある意味では絶望を生むのかもしれない。そういう生活を送る人間は、生まれたときから頭が狂っている人間と同じかそれ以上に狂気を発する、ということを、著者は小説で表現したかったのだろうと、勝手に解釈した。