天地に燦たり

  • 著者: 川越宗一
  • 心に響いた度: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2023年3月

 

豊臣秀吉の朝鮮出征において、侵略するものとされるものの矜持を描いた小説。

 

当時の東アジアは、明 (今の中国) が中華思想を背景にした文化・文明の中心で、明に従属する国は冊封国と呼ばれた。冊封国は、明に対して臣下の礼を取り、その見返りとして、交易や対外的な権威を明から認めてもらう、といった形で明に従属していた。儒教が人民統治の根本をなす思想であり、礼を知らない人間は禽獣と変わらないという考え方が普及していた。

 

秀吉は明と対等な関係を結ぼうとして、当然明から拒絶された結果、唐入り (明を攻めること) を宣言する。明の冊封国であり、明と日本の間に位置する朝鮮が主戦場となり、激しい合戦が繰り広げられる。

 

青年時代に儒教を学んでいたが、義父によってこれを否定され、以来自らを禽獣とさげすみながら合戦に明け暮れる島津の重臣と、朝鮮の被差別身分である白丁に生まれながら儒教を志す靴職人と、明と日本の板挟みになった自国を救おうと奔走する琉球の官僚という3人の人物に焦点が当てられている。3人が出会ったり別れたり戦ったりしながら、人間は何のために生きるのか、的なことを各々が感じ取っていく、みたいなのが話の筋である。

 

物語としてはとても面白かったが、主人公が3人いるみたいな感じになっていて、どこに重心を置いて読んだらいいのか迷った。数十年にわたる物語を1冊の本にまとめているので、ところどころものすごく大胆に割愛されている (例えば合戦中の一場面を詳細に描いていると思ったらいきなり数時間後に飛んだりする) のだが、読者が展開を追えるように簡単な描写は残してくれた結果、時系列は終えるけど歴史の教科書みたいになっている感じもあり、それよりはいっそのこと大胆に割愛して、読者に行間を読ませるみたいな感じでも良かったかも、と思った。

 

久高の元妻の人物描写が結構いい感じだったのだが、結局登場する機会があんまりなくて残念だった。全体的に男臭いのはしょうがない。