• 著者: 白石一文
  • 読んだ印象: 3 (1-3)
  • 読んだ時期: 2023年9月

 

名門の家の落ちこぼれとして育った宇津木明生が、結婚相手のなずなによる度重なる不倫行為に自暴自棄になっているところを、会社の上司である東海さんに救われていく話。

 

明生はなずなに裏切られながらも、愛しているので関係を維持しようと努力するのだが、そんなに辛いならさっさと別れたらええやんとドライに思う一方で、明生の不器用で正直な生き方に共感してしまう部分もあり、何ともいえない気持ちになる。

 

東海さんは優秀な営業マンであり、自他ともに認めるブサイクでり、男性的でカラッとしていて、結果的に明生を精神的に救っている。東海さんと明生との関係が縮まっていくにつれて、東海さんの母性がたち表れてくるのがすごくよかった。

 

本中に掲載されているもう一つの話「かけがえのない人へ」は、会社の同僚で出世頭である男との結婚を控えたみはるが、昔の上司で一時期付き合っていた黒木と不倫しながら、破壊的な人生に向かっていく感じの話なのだが、みはるが勤める会社が多分三洋電機をモチーフにした会社で、リチウムイオン電池事業部で働いている点に接点を感じる一方で、みはるの結婚相手 (でみはるに裏切られている) 男に自分の境遇を重ね合わせてしまい、何ともいえないやるせない気持ちになりつつも、みはると黒木の過激なセックスの描写に見入ってしまい、そんな自分が読み進めていてちょっと嫌になった。