• 著者: 山本兼一
  • 読んだ印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2023年9月

 

利休が美の求道者であった理由が、利休が切腹した日から遡る形で明らかになっていく話。

 

秀吉、妻の宗恩、今井宗久など、利休に縁が深かった人間の視点による短編小説の形を取りながら、利休の美の原点になった出来事に少しずつ迫っていく感じの展開である。

 

利休の美意識は、それまでに確立されていた侘び寂びの概念に、生命の息吹というようなものを植え付ける みたいなところにあったらしいのだが、それは19歳のときに出会ったある女性によってもたらされたものであり、物語の終盤で、その大変物悲しい出来事が明らかになる。

 

短編集なので読みやすく、利休の生き様とかにも一定の共感を持てたのだが、茶道具の置き場所が畳の一目違っただけで台無しになるという超精密さは、美術とはほぼ無縁の40代のオッサンにはもはや理解しがたく、ちょっと興味を持って画像検索してみた大名物と呼ばれる茶器も、その良さが全く理解できず、残念だった。