• 著者: ウォルター・アイザックソン
  • 読んだ印象: 3 (1-3)
  • 読んだ時期: 2024年1月

 

年末に読む本を古本屋で探して見つけて読んだ。

 

上巻の、ファルコン1の打ち上げと、モデル3の量産立ち上げくらいのところが一番面白い。常識や要件を徹底的に疑うこと(ただし物理法則に逆らわない範囲で)、設計と製造を切り離さないこと、実際にやってみて起こった失敗から学ぶこと、こういう彼のやり方は大変勉強になるし、真似すべきだ。設計から認証まで、要件でガチガチに縛られているロケット開発において、極限まで部品を削って実際にエンジンやロケットをぶっ壊しまくりながら設計を詰めていくという、NASAやロッキードではありえない開発姿勢がかっこよすぎる。

 

とんでもない成功の前には、死ぬくらいの失敗が何回もある。そこで死なずに、というか死んだとしても電気ショックで無理やり蘇生させるくらいの感じで、目標を変えない鉄の意志と、状況に応じて目標や設計を見直す柔軟さを極限のバランスで両立しながら物事に取り組むことが必要だと分かった。

 

著者によるとマスク氏は、スティーブ・ジョブズと同様に現実歪曲フィールドを身につけているらしいのだが、物理法則を誰よりも理解していて、非現実の目標を設定することがない (もしくは、設定した後に目標が物理法則に反していると分かった場合は目標を見直す) という点が、いくつも大風呂敷を広げながらもただのホラ吹きで終わらないことの一つの要因だと思う。    

真似するのが難しいのは、彼が有り金をオールインして自分と会社を崖っぷちに追いやって、狂乱するくらいの切迫感を生み出して難事にあたることだろう。アカギみたいなもんで (矜持の話であって、麻雀と技術開発を同じものだと言っているわけではない)、普通は精神が壊れると思う。スペースX、テスラ、ニューラリンクなど、1つ経営するだけでもとんでもないような会社を6個も経営し、とんでもない成功を収めている彼が、これからもオールインし続けられたら、僕が生きているうちくらいに本当に彼もしくは彼の息子のXは火星に移住してしまうかもしれない。

 

時折でてくるジョークは、SFとアメリカンジョークに精通していないと理解できないので注意が必要。

 

下巻は、ツイッターの買収劇と家庭のゴタゴタが内容の大半で、出来事がタイムラインのような感じで綴られいてる感じで、あんまり面白くない。