五分後の世界

  • 著者: 村上龍
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2019年12月

 

今よりもより自立的な道を選んだ戦後日本の平行世界に迷い込んだ男の話。著者の最高傑作という呼び声も高いようだが、個人的にはコインロッカー・ベイビーズの方が好きだと思った。

戦闘の描写がものすごく長い。敢えてそのような表現にしたらしい。

終盤に出てくる浮浪者の村的な描写のリアリティーが胸に迫る一方、主人公と関わりをもつある女性の家族の描写が古き良き昭和の日本家族みたいになっているのを、若干嘘くさく感じたのは、自分がギリギリでミレニアム世代だからに違いない。

本作と関係ないが、初めて村上龍の「半島を出よ」を読んだ際、夕食の食欲が若干なくなるくらいに近未来の日本について考えさせられたのを思い出した。翌日には食欲が改善したが、ブーメランの少年の描写は今でもずっと記憶に残っている。