人事評価制度の作り方

  • 著者: 山本浩二
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2020年4月

 

プレイングマネジャーが多く、体制が整っていない中小企業で人事評価制度を作成、運用するための方法を述べた本。

人事評価を行うのは給与査定のためではなく、人を育てて会社を成長させるためである、という考えに基づき、評価制度を導入するための方法がとても丁寧に説明されている。

大事なのは評価シートを作るのではなく事業計画 (ビジョン実現シート) を作ることであって、本の最初の1/3くらいも事業計画をどう作るか、ということに説明が割かれている。

前にいた会社で導入していた評価制度と類似する点もあり、その実効性を感じていたので、納得できる点が多かった。実際に評価制度を作成し、運用し、定着させるために使える実用性の高い書籍であると思った。

1点、例示されているビジョン実現シートの記載内容がだいぶ抽象的で、具体性のイメージが湧かないのが残念だった。企業全般に向けた書籍だから仕方がない部分はあるが、町工場とかに特化したサンプルとかも見たいと思った。

あと、これは書籍の内容とは無関係なのだが、経営理念があって、その下に基本方針があって、その下に行動理念があって、その下に人事理念がある という理念階層の多さはどうにかならないのだろうか。本書のビジョン実現シートでも、この理念のスペースが紙面の1/3を占めており、大変無駄に感じる。

書いてあることが「社会の幸福の実現」とか「お客様の期待を超えるサービスの提供」とか「豊かな人生を実現できる組織」とか、当たり前のことしか書いてなくて、あってもなくても同じではと思ってしまう。Googleみたいに、「世界中の情報を整理する」くらいに尖った理念は必要だと思う。