読書感想文: 球界消滅
球界消滅
- 著者: 本城雅人
- 印象: 3 (1-3)
- 読んだ時期: 2020年5月
産経新聞で、本城氏の野球3部作が期間限定で無料公開されていることを知り、著者のことも知らなかったが速攻でダウンロードして読んだ。無料の力はやっぱりすごい (by Predictably Irrational)。
ある球団の合併吸収ニュースを発端として、日本の球界がタイトル通り消滅の危機に陥る話。2004年頃のプロ野球再編問題を経た上で、どういう消滅の危機なのかというのが話の核になるのだが、最初の想像を裏切ってスケールの大きい話だった。球団名はすべて架空の名称だが、現行球団をオマージュしておりリアリティがあった。
主人公 (と思われる) がスポーツ統計学の専門家で、冒頭でいろいろなウンチクが出てくるので、「Money Ball」的な話なのかなと思っていたけどそうではなかった。個人的にMoney Ballの映画は好きだったので、そういう感じの話でも僕は嫌いじゃなかった。
内容は面白かったが、出てくる登場人物が全体的にギスギスしていて、友達になりたいなと思える人間が少なかった (だから何やねん)。こういう話では、だいたい日本の球団オーナーは野球チームを自社の広告媒体にしか考えていない事なかれ主義の昭和のオッサンで、アメリカの球団オーナーは野球チームを投資対象にしか見ていないハイエナ野郎だ というキャラ設定になっているのだが、実際のところそうなのだろうか。