読書感想文: 使命と魂のリミット
使命と魂のリミット
- 著者: 東野圭吾
- 印象: 3 (1-3)
- 読んだ時期: 2020年11月
ある病院に届いた脅迫状をめぐる一連の事件を、心臓外科の研修医の視点から書いた作品。
研修医は女性であり、過去に心臓病で父親を亡くしている。その父親の手術の執刀医が研修時の指導医師であるという因縁がある。また、その指導医師が研修医の母親との再婚を考えているという複雑な関係がある。研修医は、指導医師が父親から母親を奪うために故意に手術を失敗させたのではないかと疑っている。
色々あって、最終的に、研修医は指導医師が執刀する手術に立ち会うことになり、そこで真実が明らかになる。
病院脅迫の真犯人とその恋人とのやり取りと、研修医と指導医師のやり取りが同時進行で展開して、泣ける。事件を担当する七尾という刑事も、一連の事件に因縁を持つ人物なわけだが、一瞬出てくる七尾の生活風景が、独身中年男性の悲哀に満ちていて、これも泣ける。