とかげ

  • 著者: 吉本ばなな
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2021年9月

 

さくらももこのエッセイが好きで、一通り読んだのだが、ときおり友人として吉本ばなな氏が登場していたので、存在は知っていた。高校生くらいのときに、上京した姉の本棚に「TSUGUMI」という吉本ばなな作の小説があり、読んでみたのだが、女心がよく分からなかったこともありあんまり面白くなく、その後自分にはこの作家は合わないように思い小説を読むことがなかったが、この度この短編小説を読んでみた。

 

本短編小説を貫くテーマとして、「癒やし」がある。しかしながら、幼少時代のとある出来事による精神的な要因から乱交パーティー他あらゆる性的な経験をしまくってきた女性が、ある御曹司と結婚することになった際に、その御曹司に届いた手紙をふと盗み見てみたら、自分の過去の乱交パーティーの写真だった、といった展開の小説があるのだが、このプロットを「癒やし」をテーマに昇華することなんて吉本ばななにしかできないだろう。

 

明確な結論とか終わりがあるわけでもなく、狙いすました伏線があるわけでもなく、新聞の連載小説の終わりのような感じで唐突と終わる作品ばかりだが、でもちゃんとその人の人生の大事な一箇所を描写している感じの短編小説。