陰陽師

  • 著者: 夢枕獏
  • 印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2021年9月

 

10年ほど前に、「蟹工船」「ドグラ・マグラ」を読んだことが過去にあり、その流れで読んでみようと図書館で借りた。今調べてみたら、それぞれ作者が小林多喜二、夢野久作で全然違う人だった。夢野久作はともかく小林多喜二と間違うってどういうことやねん。

 

安倍晴明が主人公の小説で、一話完結の短編集みたいになっている。知人である武士の源博雅が晴明の屋敷を訪れて、酒を飲みながら世間で起きている事件を説明し、晴明に解決を依頼する、というのが序盤の流れである。

 

場面転換の表現が、毎回

 

「では行くか」

「ゆこう」

「ゆこう」

そういうことになった。

 

という感じであり、酒のつまみを買い出しに行くかのような気軽さで妖怪なり怪奇現象に赴くさまが飄々としていい。

 

庭に草が生えっぱなしのだだっ広い屋敷で、式神を操りながら (多分) 一人で生活する晴明は、現代の人物に強いて例えれば、西村博之とか堀江貴文とか苫米地英人とかそんな感じの人物になると思われる。

 

源博雅は真面目で誠実な人物で、その真面目さを晴明にからかわれつつ、晴明からも信頼されている。妖怪のくだりも面白いが、どちらかというと二人の掛け合いが面白くて続きを読みたくなる感じだった。

 

夢野久作と間違えたおかげで読めてよかった。