読書感想: うつくしい子ども
うつくしい子ども
- 著者: 石田衣良
- 心に響いた度: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2022年4月
閑静な住宅街で起こった13歳の少年による殺人事件を、その少年の兄と事件を追う新聞記者の視点で綴った小説。
石田衣良の小説は、「コンカツ?」と「40」を読んで、全体的に文章がしっくりこない感じがあったのだが、この小説はすごくよかった。
少年の兄であるジャガは14歳、中2で、植物が好きでニキビ面 (で顔が凸凹だからジャガと呼ばれている) の冴えない少年なのだが、弟が殺人容疑で補導 (逮捕ではなく補導) され、家庭がめちゃくちゃになった後、弟が事件を起こした理由を知りたいという理由で、同じ学校に残り、嫌がらせやいじめに晒されながら、心を許せる友人の助けも借りて、弟に肉薄していく。その過程が、奥手な思春期の視点から、一人称で書かれていて、その淡々とした描写が、読み進めるたびに胸に響く感じがあった。
いわゆる酒鬼薔薇事件をモチーフにした小説で、他の人のレビューを見ると、重さが無いとか、批判もあるようだが、僕は単純に救いのある物語として、いいなと思った。
物語の終盤で、事件の真相に関わる、ある少年が登場するのだが、その少年のピュアな悪さは、ドラゴンボールにおける魔人ブウ (純粋悪) を彷彿とさせる。
ジャガの友達の一人で八住はるきは、最近読んだ小説の中で一番魅力的な女子だった。