読書感想: イッツ・オンリー・トーク
イッツ・オンリー・トーク
- 著者: 絲山秋子
- 心に響いた度: 3 (1-3)
- 読んだ時期: 2022年12月
精神を病んでる絵かきの女が、蒲田に住んで、変な男たちと交わるひと夏を描いた話。具体的には、変な男とは、EDの議員、鬱病のヤクザ、痴漢の変態紳士、ニートのいとこ等である。
イッツ・オンリー・トークとは、「ただの無駄話だよ」という意味らしい。
女と変な男たちとの関わりは、何かあるようで何もないような、ただ場面場面を切り取ると、すごく濃密な時間でもある。また、女が抱える精神病も、それなりにヘビーである。で、男たちは全員、最終的に女の前から姿を消す、もしくは女が自ら離れていく。最後に女は一人になって、蒲田で元通り一人で生きる。そういうものをまるごとひっくるめて、イッツ・オンリー・トーク としてしまう軽さが、すごくいいなと思う。
あと、エロいくだりが所々に出てくるのだが、とにかく生々しくてエロい。男では絶対かけないエロさである。人生の一部として当たり前のようにセックスというものを描いている感じがある。淡々として潔くて、そしてエロい。