読書感想: チーム・バチスタの栄光
チーム・バチスタの栄光
- 著者: 海堂尊
- 心に響いた度: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2023年1月
天才的な心臓外科医が率いる医療チームが起こした連続術死事例の真相を、出世欲のない窓際的な医師とクセの強い厚労省の役人が暴く話。年末年始に帰省した際に読もうと思っていた本を丸ごと家に忘れてきたので、正月に地元の本屋で買って読んだ。
他の人の書評にも描いてあるが、キャラクターが立っていて読んでいて面白い。厚労省の白鳥の、人の感情を意図的に無視したり逆撫でしながらロジックで医師や看護師を追い詰めていく感じがいいと思った。
医療チームは表向き成功を収めているものの、いろいろと問題を抱えているのだが、いちばん重要な、チームリーダーの桐生が抱える秘密は、結局術死の真相には直接的な関連がなく、フタを開けてみると狂った一個人の行為が原因だった、ということになっていて、拍子抜けする感じがある。
また、その一個人の動機が、そんな動機を持ってるのなら、そもそも10年近く医師を続けてる間に別の理由で捕まってるやろ、という風に感じてしまった。
あと、これは好みの問題だと思うが、描写や言い回しが芝居がかっていて、読んでて冷めることがあった。主人公の田口がツッコミ役として機能しているのだが、小説の最終盤で田口自身がとんでもなく芝居がかった振る舞いをすることになり (実際、芝居なのだが)、 作中にツッコミ役がいなくなってしまって、どういう気持ちで読んだらいいのか分からなくなる。ドラマとか映画にするのにはこれくらいが良いのかもしれない。