• 著者: 馳星周
  • 読んだ印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2023年8月

 

窓際に追いやられた公安のエリートと脳筋刑事がテロ事件を防ぐために奔走する話。

 

公安のキャリアである椿は、執事付きの家に住むスーパー金持ちであり、東大法学部主席卒業のスーパー秀才で、公安警察でも実績抜群で将来は警視総監間違いなしと目されていたチート級の人物だが、ある出来事がきっかけで頭がおかしくなり、窓際に追いやられて杉下右京ばりに飼い殺しにされている。その椿のもとに、捜査一課の刑事でヘマをやらかした宮澤が左遷させられてくる。宮澤の役割は椿の監視だが、椿が偶然発見した北朝鮮のスパイの追跡をするうちに東京スカイツリーを爆破するテロ計画が発覚し、それを阻止するために、周りの人物を巻き込みながらいろいろ頑張る。

 

テレビドラマの「相棒」に近い感じの話だが、刑事ではなく公安の話である点と、主役の頭のネジが外れている点が異なっている。

 

小説中の主要な人物の一人に、宮澤の恋人である千沙がいるのだが、この千沙は宮澤が車で轢いて植物人間にしてしまった (宮澤が左遷された理由でもある) 男の娘であるという点に若干の強引さを感じる (事情はどうあれ、父親を殺しかけた人間に愛情なんて持てるのか?)。

 

それで、この千沙がとんでもなく酒乱かつ淫乱なエロキャラであり、男臭い警察官達によるやり取りの合間にエロシーンを差し込んでくる。その展開はやや強引だが期待感も当然あり、それっぽいシーンが迫ってくるとドキドキしてしまうあたりは完全に作者の思う壷だろう。

 

上記のエロシーンを含め、エンターテインメント性があって面白いが、基本的にはずっと要注意人物を監視、尾行し続ける展開であるため、話にメリハリがない感じがあった。