読書感想: 岐路にある再生可能エネルギー
- 著者: 生熊均
- 読んだ印象: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2023年11月
日本における再生可能エネルギー製作のあるべき姿を論じた本。新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻などによって、気候変動対策が思うように進まなくなっている。本書は、次世代のエネルギー対策は、脱炭素、自由化、グローバル競争、エネルギーセキュリティの4つの観点から検討が必要と述べた上で、各項目の課題について述べている。特に昨今は、ウクライナ侵攻によって、特にエネルギーセキュリティの重要化が増した結果、脱炭素を犠牲にして政策を変更する動きが高まっている。
世界各国は2050年までにCO2排出量を実質的にゼロにするためにエネルギーインフラを改革しようとしているが、日本は、太陽光発電や風力発電に適した広大な土地が少ないため、欧米諸国と同じような政策は取れない。日本が取るべき政策として、中古型の分散的なエネルギーシステムの構築を主張している。
は取れないのように再生可能エネルギー
水、食料、交通、富といった人類にとって重要な要素は、すべからくエネルギーと深い関係を持っている。例えば水でいえば、エネルギーを投入する (ダムを作る、下水道を整備する等) ことによって安全な水の調達を可能にし、またこの水の調達によってより多くのエネルギーを利用可能にする (ダムから電力を発電する等)。人類の発展は、利用可能なエネルギー量と密接に関係しているという、聞いてみれば当たり前の事実に、改めて気づかせてくれる。
エネルギーの調達方法には、必ずメリットとデメリットがある。クジラを捕まえて鯨油を取り出していた時代には、室内の空気が汚染され、健康のリスクがあるという問題があった。これが石炭とか石油に置き換わることで、この問題は解決されたが、代わりに窒素酸化物などの目に見えない汚染物質が室外に撒き散らされるという新しい問題が発生した。
現在起こっている問題 (気候変動) も、調達するエネルギー源が化石燃料に大きく依存しているために起こっているものに過ぎない (ただし全体としてのエネルギー量が著しく増えているので、問題の規模も地球全体に広がってはいる)。これの解決方法として、再生可能エネルギーの利用が重要とされている。これはもちろん当然なのだが、万能なエネルギー源というものは存在しないということを見落としてはならない。再生可能エネルギーには、変動要素が大きいというリスクがあり、再生可能エネルギーだけで問題を解決できるわけではない。一つの問題を解決すれば別の問題が発生する。そうやって少しずつ発展していくしかない。
蓄電池の開発に関わっている身としては、再生可能エネルギーと蓄電池で気候変動の問題は解決できると思っていたけど、話はそんなに簡単ではないということに気づかせてくれた点で、自分にとっては貴重な本だった。
これまでは、使えるエネルギーの量が問題だった、それが、どのようにどれだけ多くのエネルギーをエネルギー
森林を燃やすことでエネルギーを得た時代には、
これまでは、どれだけ多くのエネルギーを聞いてみれば当たり前だが、エネルギーがあらゆる
このようにエネルギーによって相互に発展し合う
構成としては、1) 簡潔明瞭な話し方、2) 相手のイメージをふくらませる話し方、3) 大事なのは話すことではなくて人を動かすことだから、そのための方策、という順番で説明している。
いわゆるエレベータートークのやり方を説明している感じで、聞いてみれば当たり前に聞こえることが書いてあるけど、結局こういうのが大事なんだろうな。