読書感想: 四人組がいた。
- 著者: 高村薫
- 読んだ感じ: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2024年6月
限界集落っぽい感じの田舎で、暇を持て余した四人の老人が、不思議な出来事を起こしていく話。
シリアスな小説に定評のある著者のこれまでの作品とは全く異なる、コケティッシュな小説。集落に住む老人は、一に金、二に金、三四がなくて五に異性または美食または名誉 という感じで、バイパス道沿いに建てたラブホテルに未成年の娘を連れ込んで逆にカモられたジジイとか、山を売った金で賄賂をばらまきまくって視聴になったジジイなど、ろくでなしだが欲望の赴くままの生き様が逆に清々しい人間で溢れている。元村長、元助役、元郵便局長の3人のジジイに加え、紅一点のキクエというババアは、集落の四天王的な存在であり、毎日集会所に集まっては、退屈を持て余し、何か面白いことはないかとだべっているのだが、そんな4人の元に、死ぬほどポジティブ思考の保険レディとか、自称祈祷師とか、パワースポットを求め歩くテレビクルーとか、閻魔とかが現れて、四人は彼らを巻き込んだり、巻き込まれたりしながら、退屈な日常を一日ずつ生きていく。
読み進めると、動物が普通に喋ったり、夜中にキャベツが歩き回ったり、たぬきが人間に化けて保育園児の面倒を見たり、謎の減少が当たり前に起こっている集落であることが分かっていく。荒唐無稽っぷりは面白いのだが、動物が人間に化けているくだりでは、人間に化たり動物に戻ったりを、昨今のプリキュアばりに繰り返していて、今こいつは動物モードなのか人間モードなのかの描写が割と雑であるため、混乱する。