• 著者: 山田悠介
  • 読んだ感じ: 1 (1-3)
  • 読んだ時期: 2024年6月

 

青少年の自殺を防止するプロジェクトの実験のために、自ら心臓を止められるスイッチを埋め込まれた少年少女と、その監視員である男の話。

 

全体的に意味が分からなかった。まず、心臓を止めるスイッチを用いた実験が、どのように自殺防止に役立つのかの説明が全くなされない。背景の設定に納得感がないので、スイッチを持たされた少年少女の心理描写に共感が持てない。

 

実験というのも、ただ少年少女を個室に閉じ込め、何もさせずに生活させるというものであり、何の教育活動もなされないので、その実態は刑務所よりも多分ひどく、実際にそんなことあるわけ無いやろ という気持ちが出てきてしまう。

 

物語の中盤で、少年少女と監視員が脱走し、逃亡生活を送るのだが、実験施設のジャージ姿でショッピングセンターに趣き服と食料を買い漁るなど、生活の実態が大変雑であり、そんなんしたらすぐに警察に捕まるやろ という点が引っかかった。

 

また、南を監視員として実験施設に送り込んだ黒幕っぽい感じで登場する堺という人物も、その動機が大変薄っぺらい感じがあり、だから何やねんという気持ちになる。

 

全体として、心臓を止めるスイッチがあったらどうなるだろう という謎設定に、登場人物が無理やり合わされている感じがした。

 

また、文庫本事態も、帯が本全体に渡るという謎仕様 (つまり背表紙が2枚重なっている) であり、背表紙が固くて若干読みづらかった。