読書感想: 犬も食わない
- 著者: 尾崎世界観、千早茜
- 読んだ感じ: 2.5 (1-3)
- 読んだ時期: 2024年8月
30歳前男女の、グダグダな関係を描いた話。同一の場面が2人の男女の視点から語られる構成になっていて、土建屋で働く桜沢大輔からみた話を尾崎世界観が、派遣で秘書として働く二条福からみた話を千早茜が、それぞれ担当している。
タイトルはおそらく、2人のグダグダな関係を暗示したものであると思われる。第一回目で、大輔と福が初めて出会った場面が描かれているのだが、二人の出会いは悪意と罵倒に満ちたかなり最悪なもので、読み終えた後に、こういう犬も食わない男女の関係が、登場人物を様々に変えて語られる小説なんだろうと思っていたら、第二回目で二人は同棲を始めており、何でこんなことになってんねんと、かなりの衝撃を覚えるとともに、続きが気になって一気に読んでしまった。
二人の同棲生活は、なんでこの二人は一緒に暮らしているのか、疑問に思うほどにうまくいっていない。そういう二人が、別れることもなくズルズルと非生産的な関係を続けていくことに対して、厭世的な気持ちにさせられるとともに、どこかで安心させられもする。それは、大輔と福が持つ汚い一面を、自分も持ち合わせているという自覚があるからだと思う。
二人の成り行きが気になって一気に読んだものの、読み終わった後も、二人の成り行きは結局わからずじまいで、良い意味で、盛大なモヤモヤ感が残った。