• 著者: 東野圭吾
  • 読んだ感じ: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2024年11月

 

冬の山荘に集められた若手役者たちの中で起こる殺人事件の話。

 

とあるカリスマ演出家によって、山荘に7人の役者が招集される。彼らは演出家の次回作のオーディションに合格した役者たちであり、演出家は彼らに、次回作の作品作りのために、架空の殺人事件を山荘で演じながら生活しろという謎の司令を受ける。良く分からないながらも生活していると、毎晩役者が一人ずついなくなる。現場にはメモ書きが残されていて、いなくなった役者は殺されたという体になっている。架空の殺人事件としてあーだこーだやってるうちに、あれ、これって本当に殺されてるんじゃね? という疑惑が彼らの中で高まっていく。3人目の「犠牲者」が出たときに、真相が明らかになる。

 

雪山に閉ざされて出入りができない中で起こる密室殺人という、超古典的なミステリーの設定を使った新感覚の展開であり、語り手のところに妙があって、ミステリーマニアからその技巧に関する様々な考察がなされていそうな内容になっている。現実世界で同じことをしたら、多分ちょっとしたところでボロが出て、途中でネタバレが発生してまうやろな、と思うような緻密な事件であり、事件が無事完結したことには、集まった役者の役者魂に加えて、本当にこんなよくわからない合宿を計画しかねないというカリスマ演出家の変人定評が大きく貢献したものと思われる。