読書感想: 柔らかな頬
- 著者: 桐生夏生
- 読んだ感じ: 3 (1-3)
- 読んだ時期: 2024年11月
友人の家族に誘われて、北海道の別荘に一家で訪れたカスミは、実はその友人と不倫関係にあり、夜な夜な密会を重ねていた。ある朝起きると、長女の有香が行方不明になっていた。カスミは自分の不貞が娘に災いをもたらしたと思い、東京に戻った家族と離れ、一人北海道に残って娘を探し続ける。
娘の失踪をきっかけに、カスミの家族はばらばらになる。カスミと不倫関係に会った石川も、カスミと別れ、家族も失う。その様子は、人生が崩壊し、喪失していく過程である。の一方で、本当の自分を取り戻していくような再生の過程に見えたりもする。客観的に見て、カスミの人生に希望があるようには見えないのだが、読んでいると希望を感じる。その描写が圧巻ですごい。