読書感想: 街とその不確かな壁
- 著者: 村上春樹
- 個人的な印象: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2025年6月
壁に囲まれ、影のない人間たちが生きる街で、自分が愛した女性を探しに行く感じの話。
読み始めて3分くらいで、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」にそっくりな話だなと思ったが、著書にあるあとがきによると、これと同じ構想を30年越しに書き直した話らしい。
「世界の終わり」を描いた当初は描ききれなかった自分の中にある物語をもう一度再構築して書き直した、いわば最終進化形がこの話になるらしいのだが、ナカタさんとか、おっぱいの大きい人妻とか、リトル・ピープルとか、そんな感じの刺激的かつ暴力的な人物あるいはメタファーが登場することもなく、割と淡々と物語が進んでいく。個人的には、「世界の終わり」の方が、太った女 とかの魅力的な人物が出てきたり、また終盤に盛り上がりがあったりとかして、面白かったように思う。小説の素人の感想だろうなと思う。
また、主人公が物語の途中で一回も射精をせずに話が終了するのだが、僕が読んだ村上春樹小説では唯一ではないかと思う。