読書感想: 黄金旅程
- 著者: 馳星周
- 個人的な印象: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2025年6月
類まれなる身体能力を持ちながら、人間に支配されることを嫌がるがあまりレースで勝てない孤高のサラブレッドと、これを取り巻く人間たちの話。
日本有数の馬産地だが最近は落ち目の日高に住む平井敬は、ジョッキーを夢見て競馬学校に入学し、同級生の亮介とともに切磋琢磨していたが、身長が伸びすぎてジョッキーの夢を諦め、それでも競馬の世界で生きたいという思いで装蹄師となり、現在は引退した競走馬を受け入れる養老牧場を営んでいる。同級生の亮介は、GIレースとかでも勝ちまくる一流ジョッキーになったものの、減量苦から逃れるために薬物に手を出し、刑務所で過ごした後、出所後も雇い先がなく、借金取りとヤクザに追われながらフラフラしているところを平井に拾われ、養老牧場の手伝いをしながら、レース前の競走馬の調教をする仕事を近くの牧場で行っている。ある日、敬の知り合いの牧場主が、エゴンウレアという競走馬の調教を亮介に依頼する。当初はジョッキーの夢も諦め、やさぐれて借金のために金を稼ぐことしか考えていなかった亮介だったが、エゴンウレアの競走馬としての能力に魅入られるようになる。
競走馬は、現役のときは華やかだが、引退後の末路は悲惨である。種馬になれる馬はほんのひと握りであり、結果を出せなかった馬は馬肉になるしかない。エゴンウレアも、GIレースで一位を取れなければ種馬になることはできない。敬と亮介は、自分の夢のためにも、エゴンウレア自身の将来のためにも、エゴンウレアレースで勝たせるために色々頑張っていく。
敬の恋人的存在である獣医師の藤井京子が、とにかく男好きのする女性すぎる。めんこくて、獣医師で経済力があり、ちゃんとエロい。物語に登場した瞬間から、敬のことを好きな感じが全面に出されており、敬のエロゲーの主人公感がすごい。
途中、京子がトラブルに巻き込まれた際、敬が体を張ってヤクザと退治するのだが、大ピンチの瞬間に大地震が起こり結果的に危機を免れるといった、ちょっと都合良すぎるんちゃうかという展開がある。
亮介は、物語の中盤くらいまではちょっときな臭い感じのヤツなのだが、最後はちゃんと良い奴になっていて安心感があった。