• 著者: 原田ひ香
  • 個人的な印象: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年7月

 

昔とんでもないことを散々やってきた元大悪党の一橋桐子が、76歳になった今、自らの人生を顧みるみたいな内容だと思ったらそうではなくて、一緒に暮らしていた友人に先立たれて希望と生活能力を失った桐子が、実は介護制度などが万全に整っている日本の刑務所で老後を過ごすためにいろんな犯罪を試みる話。

 

スーパーでの万引き、偽札づくりから始まって、知り合った若い女と共謀して誘拐事件を起こしたり、色々やってみるが、結局うまく行かず、そうこうしている内にその出来事を通して知り合った人たちが何やかや桐子を助けてくれる。

 

ものすごく大局的に見れば少子高齢化における現代社会において若者と高齢者はどのような関わりを持つべきかを示唆する内容ではある。桐子は臆病で小心者でありながらも、高齢者特有の遠慮のなさも持ち合わせていて、やると決めたら結局犯罪に手を染める潔さがあってなかなか良いキャラクターではあった。全体的に、話に登場する高齢者のうち女性は良くも悪くも特徴が際立っていて可愛げを感じるのだが、男性は変なプライドと性欲が抜けきっていない感じがあり、身につまされた。