運動会
週末に、幼稚園の運動会があった。コロナ対策のため学年ごとの開催であり、障害物競争、組体操(ではあるが組まない)、リレーが立て続けに開催されるという構成だった。
最初の障害物競争は、まずでんぐり返しから始まり、ハードル、輪っかくぐりなどをしながらグラウンドを一周する。競技は滞りなく進行し、息子の番になった。彼は僕に似ず競争心が強いのか、徒競走のたぐいでは毎年フライングを繰り返していたが、今年は一発でスタートを切っていた。
最後の組になった。スタートしてでんぐり返しをすると、一人の子がそのまま起き上がらず寝転んでいる。先生が駆け寄り、体を起こして走らせようとするが、悲しそうな顔で棒立ちしたまま動こうとしない。先生に引っぱられるようにして何とか前に進み、ゴールした。
その後、組体操を経て、リレーになった。さっきの子は、アンカーの1つ手前の順番に並んでいる。
リレーを待っている間も、急にどこかに歩きだして先生に引き戻されたり、耳をふさいでしゃがみこんだりしている。
その子は息子と同じ組だからという理由もあったが、僕は勝手にドキドキしていた。彼がさっきのように走ろうとしなかったらリレーはどうなるのだろうか。
息子の組は3組中2位で走っている。後ろの組とは1/8週分くらいの差があるが、十分に追いつかれる距離だ。
あと数人でアンカーというときになって、先生がその子に近づいていった。何かわからないが、話しかけている。
そして、彼の順番になった。障害物競争の時みたいに、先生に引っ張られるようにしてスタート位置に立つと、先生は走り去って、彼と他の組の子だけがスタートラインに残された。
前の走者からバトンを受け取ると、彼は走り出した。顎を出して、口をあけながら走っているが、遅いわけでもない。半周くらいで明らかにバテていたが、そのまま走りきって、アンカーにバトンを渡した。結果は2位だった。
走り終わった後、先生や何人かの子供が寄ってきて、何か話しかけている。その子は笑うでも起こるでもなく、スタスタ歩いて列に戻った。
閉会式のとき、先生からメダルを受け取ったその子は、少し経ってから急に泣き出し、先生に向かって何かを怒っていた。
その後、お母さんと手を繋いで帰っていった。